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JIS A 4201:2003/受雷部システム

受雷部システム
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1)目的
 受雷部システムを構成できる金属製材料によって雷撃を継続的に確実に捕捉し、雷電流を引下げ導線システムへ導電することを目的とする。

2)種類
 受雷部システムは、外部雷保護システムのうち、雷を直接捕捉する部分を構成するシステムの総称を言う。受雷部システムには、突針、水平導体、架空地線、避雷導体、その他その目的のために設置されているわけではないが、捕捉装置として利用できる構造体受雷部(金属管、階段、ガイドレール、ダクト、電気的連続性のある鉄筋等)がある。
 捕捉装置の基本的なタイプとして突針と避雷導体があり、避雷導体はメッシュ状構成とすることもできる。
 極度の直撃雷電流及び持続雷電流に耐え得る導電性のある全ての金属体は、受雷部システムとして利用できる可能性がある。

3)役割
 受雷部システムの役割は、起こり得る雷撃点を明確に決定し、不規則な落雷を防止し、保護空間を直撃雷から守ることである。その構成要素は、落雷点の溶融に耐え、許容できない温度上昇及び腐食を起こさずに雷電流を引下げ導体に伝達できなければならない。

4)受雷部システムに求められる性能
  4.1)受雷部システムの選定条件
   次の性能を満足する材料であれば、受雷部システムの構成部材として利用することができる。
  ・雷電流による電気的及び電磁気的影響並びに予想される機械的ストレスに対し損傷を受けない。
  ・想定される種々の腐食作用に対して耐食性を有している、又は防食措置を施している。
   
  4.2)受雷部システム材料の最小寸法
   JIS A 4201:2003では、受雷部システムに使用する材料寸法を表07のように規定している。また、構造体利用の受雷部構成部材として金属板及び金属パイプを用いる場合は、表08に示す最小厚さを規定している。

表07 受雷部システムの最小断面積
材料
最小断面積mu
銅Cu
35
アルミニウムAL
70
鉄Fe
50

表08 金属板及び金属パイプの最小厚さ
材料
厚さt(mm)
厚さt'(mm)
銅Cu
5
0.5
アルミニウムAL
7
1.0
鉄Fe
4
0.5

  4.3)その他金属材料の性能
   受雷部システムの構成部材は、表07及び表08に示す以外の金属材料で製作することができる。その場合は、それらと同等の機械的、電気的及び化学的(腐食)特性をもっていなければならない。

5)受雷部システムの保護範囲
  5.1)対地放電(雲−大地間の雷撃)の雷撃点
   対地放電(雲−大地間の雷撃)の雷撃点は、捕捉放電(以下ストリーマと呼ぶ)のスタート点によって決定される。雷雲から地上に向かって進む先行放電(以下ステップド・リーダーと呼ぶ)によって、地上の電界強度は定常的に増大する。ステップド・リーダーが地上部物体に数十m又は数百mの距離に近づき、地上電界強度が十分に高まると、ストリーマがスタートし、ステップド・リーダー先端に最も近いストリーマが雷撃点を決定する。
   
  5.2)雷撃距離
   ストリーマの出発点から、このストリーマが出発したときの、ステップド・リーダーの先端の位置までの距離を雷撃距離又は、最終雷撃距離と呼び、受雷部システムの保護空間に直接影響している。最終雷撃距離rは、当該構造物の形状、種類に殆ど関係なく、傾向として物体の高さとともに増大することが分かっています。ステップド・リーダーの先端が、地上の物体に影響されることなく任意に接近し、その先端から最短距離にある物体からストリーマが発生するという仮説を用いて、架空地線及び送電鉄塔の保護効果を説明する「電気−幾何学モデル」が紹介された。
   これは、誤差のある統計に基づいているため、「電気−幾何学モデル」がすべての受雷部システムに適用出来るかどうかについての明確な証明はないが、従来知られている全ての落雷現象を、例えば、高層ビルディングの側撃雷なども含めて説明することができ、可能なあらゆる受雷部システムに対して、定量的な予測のできる唯一の保護空間理論を提供している。
   「電気−幾何学モデル」の原理は、古くからヨーロッパ圏で採用され、有効性が実証されている。(文献では、例えば、既に1962年以来ハンガリーで、全ての建物に適用される雷保護規定に採用され、有効性が実証されている。と記載)
   最終雷撃距離rは、ステップド・リーダー先端の電荷量に依存している。比較的小さな雷電流のステップド・リ−ダーは、比較的大きな雷電流のステップド・リーダーよりも地上物体に近い距離まで接近することを意味している。受雷部システムの保護効果に対する要求が高くなるほど、その設計において、より小さな雷電流を考慮しなければならない。
   JIS A 4201:2003では、保護空間責務に対して考慮すべき雷撃距離とその雷の発生確率を表09のように規定している。ここでは、規格には記載されていないが、保護レベルT〜W以降の最終雷撃距離rを参考として示す。

 雷撃距離rの算出式・・・r=10・I 0.65   (m)

表09 保護レベルに対する最終雷撃距離rとその雷電流波高値及び発生確率
保護レベル
最終雷撃距離r(m)
rに対する雷電流波高値I(kA)
全落雷に対するI以上雷の発生確率(%)
Iの雷電流波高値以下の雷の発生確率(%)
T
20
2.9
99
1
U
30
5.4
97
3
V
45
10.1
91
9
W
60
15.7
84
16
A
80
24.5
70
30
B
100
34.6
45
55
C
120
45.7
30
70
D
150
64.5
12
88
E
200
100.4
3
97
 
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