JIS A 4201:2003
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保護レベル
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1)保護レベルの概要
保護レベルは、雷保護システムが、雷の影響から被保護物を保護する確率を表しています。
自然現象である雷放電に対する雷保護システムの保護効率は、施設状態によって確率的に考えることが適切でありますから、保護レベルT、U、V、Wの4段階を設定し、これらに対応する雷保護システムを構築します。
保護レベルと保護効率の関係を次表02に示します。表02にはその保護レベルに応じて雷保護システムが捕捉できる最小雷撃電流(波高値)とその雷撃距離を示しています。この雷撃電流より小さい雷撃電流の落雷は遮へい失敗することがあることを意味しています。
表02に示すように仮に保護レベルTを採用しても雷保護システムの全落雷に対する保護効率は98%であり、完全保護にはなりません。しかし、雷撃電流値が数kA以下の小さいものは危険度が少なく、発生頻度が少ないこと、経済性などを考慮して低位の保護レベルを採用することができます。
2)保護レベル選定の目的
充分な保護レベルを選定する目的は、直撃雷による損害の危険を許容できる値以下に低減することにある。
LPSの十分な保護レベルの選定は、損害の原因となる想定される落雷数(Nd)と許容される落雷数(Nc)(破損を起こすと考えられるけれども受容される雷撃数)に基づいて行うことができる。
想定される落雷数(Nd)は、国家の基準に従い、又は私的財産を対象とする場合は、建築物の所有者或いはLPSの設計者により決定する。
許容される落雷数(Nc)は、対象物の構造、用途と内容、二次災害などの要素を考慮して決定される。
許容落雷数(Nc)を、年間想定落雷数(Nd)と比較し、その比較によって、必要な雷保護システムの保護効率が決められる。
3)保護レベルを選定することによって決まる条件
・ LPSの保護効率
・ 回転球体法の球体半径、保護角法の保護角、メッシュ法のメッシュ幅
・ 雷保護ゾーン(LPZ0Aと0B)の区分
・ 対象とする雷電流パラメータ
・ LPSと金属製設備及び電気並びに情報通信設備との間の安全離隔距離を決定するための係数ki
・ 引下げ導体間の平均間隔
・ 接地電極の最小長さL1
・ 保守点検間隔
表02 保護レベルと保護効率など
保護レベル
保護効率
最大雷撃電流
最小雷撃電流
最小雷撃電流
波高値以下の
雷の発生確率
回転球体半径
T
98%
200kA
2.9kA
1%
20m
U
95%
150kA
5.4kA
3%
30m
V
90%
100kA
10.1kA
9%
45m
W
80%
100kA
15.7kA
16%
60m
4)雷害リスク解析による保護レベルの傾向
保護レベルの具体的な選定方法は、当該構造物の雷害リスク解析により算出します。ここでは、従来、行われてきたその典型的な結論及び当社の推奨する保護レベルを、下記に示します。
表03 雷害リスク解析による保護レベルの傾向
建築物の種類
推奨保護レベル
原子力発電所、化学工場、
大規模電算センター、研究施設等
保護レベルT〜保護レベルU
※追加措置を考慮するとよい
医療施設、病院、銀行、商社、本社ビル
(管理部門)、危険物施設等
保護レベルT〜保護レベルV
一般住宅(中、高層住宅)
事務所ビル、通信・情報基地局
保護レベルV〜保護レベルW
一般住宅(低層住宅)
民家、橋、屋外照明柱
保護レベルV〜保護レベルW
(雷による損失が関係する担当者の判断により小、及び、雷の発生頻度が小と予測される場合は、保護レベルW)
※:追加措置とは、例えば、接触電圧及び歩幅電圧を抑制する手段、火災の伝搬を抑制する手段、敏感な機器への誘導雷通過電圧を緩和する手段などである。
5)JIS A 4201:2003の解説による推奨
JIS A 4201-2003の解説では、
「一般建築物では、レベルW、危険物施設ではレベルUを最低基準とし、立地条件、建築物等の種類・重要度によってさらに高いレベルを適用する。」
と記述されています。
解説は、本文ではないため拘束力はありませんが、上記の記述より危険物施設では、保護レベルU以上を採用することが推奨されます。
適切な保護レベルを選定することによって構造物への直撃雷による損害のリスクを最大許容レベル以下に低減することができます。従って、計画の初期段階で、雷害リスク解析を実施し、適切な保護レベルの選定を行わなければなりません。
危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行についての消防通達(抜粋)
平成17年1月14日 消防危第14号
第4 その他の事項
1 .日本工業規格の改正にあわせ、避雷設備について改正がされたが、適用にあたっては次の点に留意されたいこと(規則第13条の2の2)
(1)
危険物施設の保護レベルは、原則としてTとすること。
ただし、雷の影響からの保護確率を考慮した合理的な方法により決定されている場合にあっては、保護レベルをUとすることができること。
(2)
屋外貯蔵タンクを受雷部システムとして利用することは、原則として差し支えないこと。
(3)
消防法令上必要とされる保安設備等は内部雷保護システムの対象とし、雷に対する保護を行うこと。
6)保護レベルの性能比較
保護レベルによる保護効率を比較すると表04に示すような性能差があることが分かります。保護レベルWの保護性能を1とすれば、保護レベルVは、2、保護レベルUは、4、保護レベルTは、10の保護性能があります。例えば、保護レベルTは、保護レベルWと比較して10倍の性能を持っていることになります。
表04 保護レベルの性能比較(年間に捕捉失敗する確率)
LPS保護レベル
想定落雷数(
Nd
)
1年に1回落雷
1年に2回落雷
1年に3回落雷
外部LPS設置なし
1回/1年
2回/1年
3回/1年
保護レベルW
1回/5年
1回/2.5年
1回/1.66年
保護レベルV
1回/10年
1回/5年
1回/3.33年
保護レベルU
1回/20年
1回/10年
1回/6.66年
保護レベルT
1回/50年
1回/25年
1回/16.66年
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